話題(9)COVITー19とは何者か?

COVID-19って何者なんだ?
               中川滋木 木曜会(2021/10/29)パールホテル両国

「急性感染症パンデミックから緊急事態宣言」という政治・社会的現象
COVID-19:coronavirus disease 2019
 時系列把握
  2019年12月末:武漢市で「原因不明の肺炎」発生
      1月16日:国内初感染者確認
            2019年末武漢市訪問、滞在中の2020年1月3日に発症、
            1月6日帰国。後に感染確認
      1月31日:武漢市からのチャーター便
            第1便帰国者206名中5名搬送、PCR陰性 
                         その後1名が肺炎症状、喀痰で陽性
                検査に同意した199名が
                 国立国際医療研究センター国際感染症センター
                     7名に症状あり入院、1名がPCR陽性
                     6名は宿泊施設移動
                     無症状192名中2名が陽性と判明、入院
      2月3日:ダイアモンド・プリンセス号横浜港入港
      2月5日:乗客全員個室隔離
           重症者?搬送:「自衛隊車両でワッと運ばれて来た」
            国立国際医療研究センター
               国際感染症センターセンター長 大曲貴夫氏の言
                感染症指定医療機関として、エボラ出血熱の
                国内発生時に重症者搬送に関し、検討・議論した。
                 広域搬送の議論で中断
               関東近県及び遠隔地まで搬送ができた。
                 やってみたらできちゃった!
                 しかし「隠密」を要した。
            感染者:712名 死亡者:13名(2020/12/22)
      3月頃:感染拡大
           持続する災害で、被害は連続して広域に広がる
           屋形舟、スポーツジムの更衣室、ライブハウスでの
             クラスター発生
      4月7日:緊急事態宣言
      5月25日:緊急事態宣言解除
感染第1波で判った事柄
 3密リスク
 高齢者を含むハイリスク者を中心にクラスターが拡大
 累積死亡者数増加傾向
 20-30歳代の感染者は無症状
 全国各地へと拡散
 すべて社会学的レベル!

COVID-19ワクチンの開発
 ファイザーワクチン
  たんぱく質(ウイルスコロナ)合成(生体)に際し、鋳型となる遺伝物質(mRNA)
  由来はともかく、感染拡大は生体がCOVID-19をmRNAとして認識させられることで起  きている。
  ウイルスにすれば、「ヒトの勝手でしょ」!
  このmRNAが細胞に取り込まれ、生体がウイルスコロナを産生。
  ウイルスコロナが生体の免疫システムによって異物として認識され、ウイルスコロナ特  異抗体を産生、T細胞応答も引き起こされる。「疑似感染」を起こさせる。
  
  ハンガリー人、トルコ系ドイツ人に加え、ギリシャ系アメリカ人による共同作業
   カリコー・カタリンはアメリカにわたり、生体に対しRNAが「なんらかの作用」
   を及ぼさないか? もちろん有益な作用を想定。
   ウール・シャヒン、エズレム・テゥレジ夫妻はドイツのバイオベンチャー、
   バイオジェン創業者で細胞間の新たなRNA機能を探っていた。
   アルバート・ブーラはファイザーのCEO。ギリシャに居住し、ヒトラーに追われたユ   ダヤ人の子孫。
  武漢でCOVID-19感染がおきた時、カリコー・カタリンはドイツのバイオジェン  
  に招かれ、ワクチン製造を始めた。カタリンが考えた「なんらかの作用」は結果的に強  い炎症惹起作用だった。
  そこでRNAを構成する塩基のうち、ウリジンに修正を加えたところ、炎症惹起作用が弱  まることを発見。この技をバイオジェンが使い、ワクチン製造にむかった。
  アルバート・ブーラは前年、ファイザーのCEOに就いたばかりだったが、ワクチン販売  をうけもつ、すなわち「ワクチンを売ってやる」、「研究資金をだす」!

COVID-19感染抗体
 アメリカで爆発的感染拡大と大量死者が現出した時、感染後生存者のなかで献血
者があらわれ、抗体含有血清が患者に輸血されることになった。この献血は「特定
個人」を目的としたものではなかった。
*イギリスでのチャレンジ治験
その後、アメリカの製薬企業、リジェネロンがモノクロナール抗体であるカシリビ
アブ、イブデビマブを組み合わせて「抗体カクテル療法」を開発した。厚労省は副
反応が少ないと判断し、現役世代に対する治療法とした。日本政府の対応としては
想像をこえた極めて迅速な承認となった。
 ワクチン接種が進んだ結果、種々の副反応が報告され、ワクチン接種後に懸念さ
れる抗体価の低下に対し、3度目のブースター接種が検討されている。しかしな
んらかの副反応を経験したヒトに接種回避の動きが出てくるだろう。

2年間のCOVID-19感染で判ってきたこと
 武漢市で「原因不明の肺炎」発生で始まったCoronavirus Disease(COVID)が中国による生物化学兵器としての研究経過での漏出でないことをアメリカが認めたものの、中米がワクチン製造を含めて共同歩調をとったとは思えない。むしろ中国がシノバック社製ワクチン(不活化ワクチン)を大量に配布、政治的優位性をねらった。
アメリカは大都市で感染者とその死亡者数が極めて多くみられた。大統領すら感染したにも拘らず、適切な対応は全く見られなかった。CDC(Centers for Disease
Control and Prevention)が厖大な感染症での過去のデータを駆使しても、適切な対応が全く見られなかった。CDCはSaving Lives,Protecting Peopleを標榜するが、その役割は単にパンデミックのみならず、戦争戦略の意味をもった機構で「心構え」が違うのだがCOVID-19感染への「解」はだせなかった。すなわちEmerging
Infectious Disease(新興感染症)だった。感染拡大の過程でファクトを知り、次つぎ
新たなファクトがみつかっていった。従ってその治療は何でもやってみるよりほか
仕方がなかった。感染初期から数多くのコメンテーターが様々なことをいい、「解」がないまま多くのコメンテーターが消えていった。
発言の貧弱な総理大臣は多くの専門家から異なる意見を聴いて、できることをやったのであろうが、「解」のない中でワクチン接種に彼の「解」をかけたのだろう。
この「解」のためにオリンピックを利用したのだとおもう。訪米中にファイザーCEOと話した内容はオリンピック開催のための「解」でもあったと思う。オリンピックに対する解釈がどうであったとしても、ワクチン接種の増加に結びついたことは間違いない。この間ファイザーワクチン承認、カクテル療法承認がスピードアップしたことも事実で政府、国民が忘れないで欲しい。

COVID-19の臨床症状
   感染後5日で発症
    インフルエンザ様症状、ほぼ必発
     鼻汁、鼻閉の頻度が低い
    消化器症状
     下痢:13%、吐気・嘔吐:10%、腹痛:9%
    感覚障害
     嗅覚:53%、味覚:44%
   中国からの報告(JAMA 2020)
    44,672名のうち81%:軽症・中等症(肺炎なし)
           14%:重症(呼吸困難、低酸素血症、肺炎像:肺面積の50%以上)
           5%:最重症(呼吸不全、ショック、多臓器不全)
   重症患者への濃厚治療に対し、どのように感じた?
           
抗ウイルス薬
 インフルエンザ:タミフル
 エボラ出血熱:レムデシビル
 COVID-19:特化したものはない
        アビガン:RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤
              富山大学と富山化学(現富士フィルム)
              デンカ(新潟県)での原料生産、4年前中止、
                中国委託、政府による再生産依頼
                    副作用了解のうえで投与:緊急事態    
        レムデシビル:COVID-19感染者1063名(アメリカ、欧州、アジア)を対                象に臨床実験(NIH)
                回復までの日数:11日対14日(31%短縮)
                         死亡率:8.0%対11.6%
                湖北省の臨床結果(237名):効果なし
                COVID-19に対し回復を促し、死亡リスクを減ずる
                          (ギリアド・サイエンシス)
                国内初の特例承認:日本法人からの承認要請
                          3日後に厚労省は承認
                          (ドラッグ・リポジショニング)
                          10日間人工肺処置、重症者
        アクテムラ:ヒトIL-6モノクロナール抗体
                 サイトカイン抑制:免疫暴走抑制         
        コロナスパイクとの結合性解析:「富岳」の優先的、試行的利用
            既存薬剤の有効性をAIで検索 
        *抗体依存性感染増強(ADE):エボラウイルス抗体での現象
            サイトカインストーム:人口透析で対応
               COVID-19感染重症者にみられる所見:血栓を発見
      
死亡者数の不思議
    17,941/1710,658(2021/10/10)
    ファクターX:山中伸弥
    直系家族社会は権威主義的、保護主義的傾向
      エマニュエル・トッド(歴史人口学者)
    基礎疾患をもつ人口が比較少数
            ケンブリッジ大学の統計処理
      イギリス:137,945/8,120,713
    皆保険によるメリット?
    ACE1[I/I]タイプのヒトの割合(国立国際医療研究センター)
      アジア>ヨーロッパ 
      ACE:気道、心臓、腎臓に発現し、血圧調整に関連
    中国由来ウイルスの高頻度被爆(児玉龍彦:東大先端科学技術センター)

人獣共通感染症:野生動物(自然宿主)での「変異」からヒトへの感染
    鳥から鶏(不顕性感染)、ヒト:鳥インフルエンザ(高病原性H5N1)
    人、鳥、豚に共通するウイルス表面タンパク
    喜田宏:北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター
        香港かぜ(H3N2):鴨、アヒル、豚
          アジア風邪ウイルス(H2N2)と同時感染
     シベリアで営巣する野鳥(鴨)が中国へ飛来

薬剤の主作用と副作用、副反応
 新薬の開発
    実験動物における主作用、副作用の確認
    臨床試験:新薬候補とプラセ―ボ
     実験データの信憑性
     母数が国際標準に達していない
    人体での有害事象:ポリオ生ワクチン投与で発病例
              強制接種の問題点
    副反応:意義としてのエビデンスは充分だが、被接種者(子宮頸がん予防ワクチン        )の生活をすすめるうえで、支障をきたす。
ヒトの行動原理
   罰則管理
   自粛要請と自己決定による判断
    基本的人権と共同社会の維持
     自然界(地球上)において人間は主体か? 根本的自己決定能力を
      期待できない
    共同体を構成する「個」による自己決定、共同体内での自由意思に対する判断
    安定した共生のために要する作法:恣意であってはならない
    公共の利益が損なわれる非常時に際しては私権の制限もやむおえない  
     カール・シュミットの例外状態:戦後の平和的風潮のなかでは法的根拠のみ
細菌、ウイルスとの共生
     常在腸内細菌(通常、宿主は殺さない)の効用
     神経線維に存在し続けるウイルス
     石灰化病巣内の結核菌
     COVID-19の再生産はヒトの肺胞細胞上皮(酸素取り込みに特化)
                     肺塞栓、肺炎
                  Angiotensin-converting enzyme 2(ACE2)と
                  Spike proteinの結合、膜融合

COVID-19は「なにものか」      
     「原因不明の肺炎」の「原因」はCOVID-19で、その感染は新興感染症。
      過去の感染症で蓄積されていた知見をデリートし、経過中に観られた
      現象に対処するしか手立てはなかった。
       緊急事態宣言(実態は自粛要請)=生存第1、感染拡大逓減の
       見極め
        「現実が後追い」深い洞察:だれが、いつ?
       日々新たな知見が積みあがる 
       「知」は「経験」で実証されるしかない!
       主作用となる薬剤開発が時間を要するなかで、遺伝子操作技術を
       駆使したワクチン製造、中和抗体製造を進めた。
       集団免疫達成社会=パンデミック終結
           Evidence-based Natural Immunityという公衆衛生学的常識
        COVID-19に限らず、RNAウイルスの再生を受け持っているのは
       ホモ・サピエンスで、感染拡大はヒトに依存!